I am expatという、オランダの外国人駐在者に対して情報を発信しているウェブサイトに2016年に発行された記事を紹介します。2015年夏から2016年始めにかけて報道されたヨーロッパへの難民到着に対して、何かできることはないかと考える在蘭外国人からの要請に応えた形で発行された記事です。
出典:http://www.iamexpat.nl/read-and-discuss/expat-page/articles/refugees-netherlands-what-you-need-know
2015年、多くの難民がオランダに到着しました。多くの言説から事実を伝え、何ができるかをここに提案します。
各団体の役割
The Centraal Orgaan opvang Asielzoekers (難民申請者の受け入れのための中央機関、以下COA), Vluchtelingen Werk Nederland、オランダ赤十字、救世軍はオランダに到着し、難民申請期間中の難民のニーズに合った活動を行うために協同してきました。オランダの入国管理局は、難民の申請を受け付け、申請者の滞在の決定をします。
いくつかの基本的事実
2015年の1月から10月の間、45,000人以上が亡命申請しました。大半がシリア人、それに次いで、エリトリア、イラク、アフガニスタンからの亡命者です。西ヨーロッパのみならず、世界が最後にこれだけの数の難民を見たのは、第二次世界大戦時でした。
VluchtelingenWerk によると、97パーセントのシリア人難民はシリア周辺諸国に留まり、ヨーロッパに来ておりません。
■難民の多くは経済難民なのでは?
難民は全てを残してのがれてきた人たちです。彼らの家族、友人、家、仕事、学校、時には、子どもたちまでも残し、やってきた人たちです。西ヨーロッパやオランダまでの旅路は、危険に満ちています。
難民になるという決断は決して易しいものではなく、将来のある時点で正常な生活を取り戻すための最後の手段です。経済移民は自国を離れる理由は、経済的事情の由です。
難民申請期間中、入国管理局は難民が語る内容、彼らの身もと、オランダに来た理由が事実であるのか確認します。そして入国管理局が難民としてオランダに滞在できるか否かを決定しますが、その決断は簡単に下されていません。経済的動機でオランダに来ていないと証明できない難民は、申請の許可を得ることはできず、送還されます。
■難民なのになぜスマートフォンを持っているのか?
難民になることを余儀なくされたからといって、彼らが元々貧しいというわけではありません。 スマートフォンは、難民にとって2つの重要な目的を果たします。
GPSとオンライン地図は、難民たちを目的地までナビゲートします。 多くは川を渡って泳ぎ、危険な国境を越えなければなりませんが、スマートフォンによって彼らは危険な道を避けることができます。
スマートフォンによって、難民が移動中や亡命希望国に到着した後、家族や友人と接触することができます。 そして、難民は避けるべき地域と支援をどこで見つけられるかを互いに知らせるためにソーシャルメディアを活用しています。
■なぜ多くの男性が家族を残して一人で旅をしているのか?
西ヨーロッパまでの道は危険な道の一つ。2015年には実際3,700人の難民が地中海を渡りきれず、溺死しました。
また、難民を運ぶ密輸業者は難民に多額の支払いを要求するため、多くの難民は家族全員に支払う余裕はありません。したがって、家族との再会は、これらの単身で旅を行った男性の多くにとって非常に重要です。
■シリアの難民はなぜ彼らの地域に滞在しないのですか?
Vluchtelingenwerkによると、シリアの難民の大多数はヨーロッパには来ておらず、ヨーロッパに到着した難民は全体のうちのたったの3%です。ほとんどの難民は近隣諸国の難民キャンプに住んでいます。
国連は、400万人以上のシリア難民がレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプト、北アフリカに滞在していると推定しています。国境の難民キャンプでは多くの人が悲惨な状況にいます。
■オランダの難民の実態
EUの人口は5億人にのぼります。オランダには約1,700万人の住民と4万5千人の難民がいます。
それらを踏まえて、シリア周辺の難民の人口は以下の通りです:
>レバノン(人口4,500万人)には、1,200万人のシリアの難民がいます。
>ヨルダン(人口6,500万人)には63万人の難民がいます。
>トルコ(人口:約7,500万人)には約200万人の難民がいます。
>イラクの巨大な難民キャンプドミツ村にはおよそ5万8千人が住んでいます。
インターネット上の仮想Domiz難民キャンプへはここ(英語)(※2017/8/11現在リンク切れ)から訪問できます。
■私たちに何ができるのか?
現時点において、難民のヨーロッパ、そしてオランダへの到着に対してできる短期の方法はボランティアと寄付です。
寄付
救世軍の1.400の場所の1つ、またはあなたの地域の地元の一時的に指定された「緊急避難所」に赤十字を通じて衣服を寄付ができます。
以下の物品が現在難民に必要とされています。*これらは2016年始めの時点で必要とされた物品です。
>冬の衣服(コート、セーター、靴、スカート、手袋、帽子)
>すべての年齢のすべての種類の下着
>スーツケース、旅行用バッグ
>運動服とジョギングパンツ
>ベビーカー、マキシコシ
>自転車
>衛生用品(シャンプー、石鹸、練り歯磨き、脱臭剤、タンポンなど)
上記のリストは毎日変更され、場所によって異なりますので、最初に寄付先となるFacebookグループを確認してください。
ボランティア、その一例と方法
>地域の避難所の1つまたは赤十字社WelkomWinkelでボランティアに参加できます。
>難民のための赤十字ボランティアとしてサインアップできます。
>あなたがアムステルダムの地域に住んでいて、避難所の1つでボランティアを希望する場合は、
救援軍をk.van.tilburg@legerdesheils.nlに送ってください。
寄付の方法や地元のシェルターで必要な物品の寄贈の最新情報は、Facebookグループをチェックしてください。Facebookは、オランダの異なる都市でボランティアを調整するための貴重なリソースとなっています。
長期的に見て大切なことは、長期間において難民の失業状態を避けること、社会への早い時期での統合を目指すこと。語学の訓練を行い、難民が自国で行っていた職業と同様あるいは似ている地元の職種のプロとコンタクトを持つようにすることが望ましいと考えられています。多くの難民は高等教育を受けているものの、オランダの地域社会とのつながりもなく、彼らがオランダで生活するための語学能力の向上は必要です。
これらに対応すべく以下の2つのイニシアティブを紹介します。
>語学訓練:難民への英語とオランダ語の会話ベースの語学訓練。(アムステルダム地域)
>コネクションを作る:難民と地元の専門家やビジネスとつなげる。(Refugee StartForce:https://refugeestartforce.eu)
2016年1月20日
執筆:トーマス・ルンドベルグ
http://www.iamexpat.nl/read-and-discuss/expat-page/articles/refugees-netherlands-what-you-need-know
ボランティアが潤滑油となりながら、NGO、政府、アントレプレナーのイニシアティブをつなげてきました。長期的視野として考えられているオランダ社会への統合は、政府による組織的なプログラムの他、ボランティアをベースとした文化紹介や語学ボランティアなども活発に行われています。
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